2人が本棚に入れています
本棚に追加
世間一般では、僕のような人間をニートと呼ぶ。
ニートの定義は色々あるけど、働く気も学ぶ気も全くなかった僕は生粋のニートと言えた。もしもニートチャンピオンシップなるものが開催されれば、間違いなく入賞していただろう。
そこまで自覚はあるのに、抜け出せなかった。
1年、また1年。
マンガを読んだりオンラインゲームに没頭したり。居場所を求めてネットにのめり込んだり。その場しのぎの娯楽を続けた。
その結果、僕は大人になっていた。
時間と酸素と自尊心を浪費して手に入れたものは、焦燥感だけだった。
「何でもいいから仕事をしろ」
父はそれしか言わなくなった。
「お願いだから、社会に出て」
母はそれしか言わなくなった。
わかってる。この状況がよろしくないことぐらい、馬鹿な僕でもわかってる。
だけど何も出来なかった。
僕の世界は、6畳の空間で精一杯だった。
最初のコメントを投稿しよう!