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「さて事態を簡潔に整理しようか」
昌は待合室のソファーに落ちるように腰を下ろすと、テレビのリモコンをつけてテキトーにチャンネルを回した。
どのチャンネルも臨時ニュースで、さらには同じ事件についての報道ばかりだ。
要約すれば一条財閥とかいう大きな、それはもう大きな財閥の社長さんの娘さんが誘拐されたんだとさ。
顔写真も載せられていた。
黒髪のショートカットで前髪は揃えられているがサイドだけが少し長い。顔は可愛らしいが釣り上がった目はどこか攻撃的な雰囲気を漂わせる。服装は社長の娘らしからぬボーイッシュなスタイルだった。
一方で、先程キャリーバッグの中に入っていた、今は昌の隣で眠っている郵送少女は、黒髪のショートカットで前髪は揃えられているがサイドだけが少し長い。顔は可愛らしいが釣り上がった目はどこか攻撃的な雰囲気を漂わせる。服装は俺達の母校である聖ヶ丘(ひじりがおか)学園高等部の制服である。
「はははー。服は違うから別の人だなー」
「はははー。顔は同じだし同じ人だねー」
苦笑いと高笑いが交差する。
「昌! マジで、マジで、マジで、マジで笑えない状況なんだけど!?」
「まぁ誘拐の片棒かついじゃってるね」
どうやらこの子は郵送少女ならぬ、誘拐少女らしい。しかも財閥トップの娘という。
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