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「ハッハッハッ! 図星過ぎて何も言えないだろう?」
勝ち誇った顔で笑う誘拐少女、もとい自称名探偵一条麗ちゃん。だがその推理は間違っていたりする。
どうやらこの子は俺達を誘拐犯と誤解しているようだ。
「いや、実は俺達は君が入っていたバッグを拾ってだな――」
「そんな嘘に騙されるほど私は馬鹿じゃないぞ! さぁ私を開放しろ誘拐犯!」
……思い込みが激しい!
さらに言えば開放するもなにも、手足を縛ってないしドアにカギをかけてもいないので、逃げようとすればいくらでも逃げられるのだが。
すると昌がやれやれとため息をついて立ち上がった。ソファーの後ろを通ってドアの前まで歩くと、そのまま両腕を頭にまわしてドアにもたれかかった。
「自分達のことを誰にも言わないでくれるなら開放してもいいけどねぇ」
昌にしては至極真面目な顔つきで一条に訊いた。
「それは無理な相談だな。悪を前にして見過ごすわけにはいかない。お前達の悪事は警察によって裁かれるのだ!」
「……裁くのは警察官ではなく裁判官だろう? 警察は悪事を暴く者じゃないのか?」
「う、うるさい! とにかく私を開放しろ!」
顔を赤くして照れる一条。すこしかわいい。
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