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「それはそうと屋久島、その荷物はなんだ?」 「あぁこれはただのパシリですよパシリ」 「……お前さんも大変だなぁ」 そう思うなら少しは青木さんの手伝いをしてあげましょうよというツッコミはグッと堪えて愛想笑い。 「まぁ慣れてますしね」 「それに、好きでやってるんだもんな?」 いや、決して好きでやってるわけじゃないんだが、“表向き”にはそうなってるからそう言われても仕方ない。 “裏”はたとえ渡部さんにでも言えない。言いたくない。 俺はそういう人間なんだと、言いたくない。 保身。 所詮、自分の身がかわいいんだ。 「そうですね」 だから俺はまたしても嘘をついた。 嘘なんてつき慣れている。 狼少年だ。 そんな俺の嘘を信じてくれる渡部さんに申し訳ないと思う。 それでも、嘘をつくんだ。 「ふぅん。じゃあそろそろ俺も仕事するかね」 渡部さんは手すりから体を離して大きく伸びをした。パキパキと音がしたあたり、結構前からここにいたのだろうか? 「んじゃ、また何か情報が入ったら教えてくれや」 そう言ってタバコを携帯灰皿に入れると阿部野橋駅方面へと立ち去って言った。
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