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帰り際、オバサンの後ろにしがみつきながら、憂君が涙目でこちらを見つめていた。
俺は憂君から顔を背け「ありがとうございます」と小さな声で言った。
左ポケットに入った財布が、重くのしかかっている気分だった。
車に乗り込み、徐々にオバサンの家が小さくなって行く。
やがて俺はオバサンの家から目を離し、田舎の風景を見ていた。
あっ
声にならずに、俺はあることに気づいた。
あやとり、してないや
「隆弘ぉ?これからどっか行く?ちょっと走らせればデパートあるけど?」
古い建物達が俺の目を通過して行く中、母がそう言った。
「おう、頼むわ」
そうだ、俺は新しく出たゲームを買わなくてはならない。友達と約束したんだ。
でも、それじゃ金持ちの親戚と同じでは無いだろうか、自分のために使う金と、人のために使うお金とでは、お札の中のフリーメイソン共の顔も違ってくるのではないだろうか。
オバサンからもらった封の中には、どこか悲しそうな野口がいた。
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