お年玉の使い道

6/9

1人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
帰り際、オバサンの後ろにしがみつきながら、憂君が涙目でこちらを見つめていた。 俺は憂君から顔を背け「ありがとうございます」と小さな声で言った。 左ポケットに入った財布が、重くのしかかっている気分だった。 車に乗り込み、徐々にオバサンの家が小さくなって行く。 やがて俺はオバサンの家から目を離し、田舎の風景を見ていた。 あっ 声にならずに、俺はあることに気づいた。 あやとり、してないや 「隆弘ぉ?これからどっか行く?ちょっと走らせればデパートあるけど?」 古い建物達が俺の目を通過して行く中、母がそう言った。 「おう、頼むわ」 そうだ、俺は新しく出たゲームを買わなくてはならない。友達と約束したんだ。 でも、それじゃ金持ちの親戚と同じでは無いだろうか、自分のために使う金と、人のために使うお金とでは、お札の中のフリーメイソン共の顔も違ってくるのではないだろうか。 オバサンからもらった封の中には、どこか悲しそうな野口がいた。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加