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次に私事ではありますが、このたびの「株式会社シンコー・ミュージック」に業務管理をして頂くことを機に、息子の裕哉と共に当分の間アメリカにて生活していくことを決意いたしました。
私たち親子は日本が好きです。出来ることなら、このまま日本で暮らしてゆきたいのです。一番安心で、豊のお墓もある、そして私の家族もいる、友達もいる日本に。
だけど、これから学校教育を受けて育っていく裕哉にとって、日本(特に東京)は、良い環境とはとてもいえなくなってしまったのです。
私は裕哉を守ってあげなくてはいけません。いいえ、義務なんかじゃない。
私が裕哉を守らない訳などあり得ない。私にとって一番大切な、たったひとりの息子です。
裕哉は、私のすべてなのです。
裕哉は来年、小学校に入学する予定です。
まだまだ小さな子供なのだから、なにも背負い込まずに周りの目などを気にすることなく、のびのび育ってほしいと願っているのです。
そして、いま何よりも心配なのは、裕哉があともう少しで充分に活字が読めるようになってしまうことなのです。その時、裕哉が目にするであろう、氾濫する父親に関する本、本、本、本……。
それらを裕哉が手にしたときに、何を考え、どんなことを思い、どのように判断して、自らの心に父親像を受けとめるのでしょうか。
字が読めるようになるといっても、その頃の裕哉にはまだ自分なりに価値基準が備わっている大人ではないのです。
しかも、そこで手にする活字の本といえば、決して本当のことを伝えているものではなく、脚色され、営利だけを目的にしたひどい内容の本なのです。
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