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【椿 視点】
子供の頃、祖母に言われた。
「将来お前はこの子と結婚するんだよ。」
そう言って私に見せたのは
“みずさわ かずなり”と言う名前だけ。
その日私は、既に自分の将来が決められていることを知った。
顔も知らない婚約者の存在を知った10年後
それは突然現れた。
「立花 椿さん。今日から君は俺のモノになるんだ。」
綺麗な顔立ちをした、着物姿の男性。
私が貴方を初めて見た日。
10年間名前しか知らなかった相手の顔を、ようやく見ることが出来た。
和「俺のこと知ってる?」
椿「名前だけ…」
和「ならこれから俺のこと知っていって。」
そう言って彼は私の左薬指に指輪をはめた。
和「男避け。絶対に外さないこと。」
椿「………。」
あぁ、とうとうこの日が来たんだな…
薬指にはめられた指輪は
まるで鎖の様に私と彼を繋いでいた。
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