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そして2人はしばらく歩き、ようやく学園に到着した。 「まずは寮に行くか」 「そうだね」 校舎から10分程度歩いた距離にある寮に入るとすぐ横に管理人室があった。 「すみません」 「はい」 中から顔を見せたのは笑顔の女性。2人の考えではおそらく20代後半。 「今日から寮で生活することになりました」 「名前と学科は?」 「霧隍 零夜です。そして、こちらが月影 玲華です。2人とも特別進学科です」 玲華は零夜の隣で丁寧にお辞儀をした。 「はい、2人とも427号室だね」 「え?」 「どうかした?」 「事前に知らされていた部屋は、彼女は426号室では?」 入学手続きを終えた後に2人に送られた書類では間違いなく玲華は426号室であり、零夜は427号室であるため、零夜は管理人に聞き返さずにはいられなかった。 「何も聞いていないの?」 おそらく管理人と思われる、その女性は玲華を見る。玲華が目を逸らしているため、何か知っているということは明確である。 「玲華、どういうことだ」 「え、いや、さぁ?」 「ごまかすなら、目を合わせるくらいしろよ」 ―ごまかす気が無いのだろうか 「……部屋に行きながら説明するね」 玲華はそう言って、置かれた2つの鍵を手に取り、奥に向かう。決まってしまっていることは仕方が無いが、ここで説明をしてほしいと零夜は思う。 「彼女なりの優しさだよ、少年」 「理由は何となくは察してますよ」 女性の言葉に一言だけ返して、玲華に続いて奥に向かった。
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