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時刻は昼近くになる頃、ある建物では慌ただしくなっていた。 「修、そろそろ行かないといけないのだが……」 まだ4歳になったばかりの男の子に着ている制服をつかまれ、黒髪に金色の瞳をした霧隍 零夜(キリタニ レイヤ)はどうしたものかと思考を巡らせる。 「修、もう昼寝の時間だろ?帰って来てから遊んでやるから、離してくれないか」 「やだー!しゅう、ねむくないもん!いま、あそびたいん!それにしばらく、かえってこないんでしょ?」 悩んだ結果、もう一度説得を試みた零夜であったが、その試みは見事に失敗し、ただ苦笑いを浮かべることしかできなかった。そこに1人の女性がやって来て、修に何かを言った。その内容は零夜には分からなかったが、修が大人しく手を離したため、深く考えることはしなかった。 「ありがとうございます。加奈さん」 零夜は申し訳なさそうな表情で感謝の言葉を告げる。 「いいよ。本来なら私たちがしなきゃいけないことをいつもやってもらってるからね。それよりも玲ちゃんが待ってるよ?」 加奈という名の女性が微笑みながら言うと、零夜はもう一度礼を述べ、急いで部屋を出て、玄関へと向かった。 「夜くん、友達ができるといいんだけど……」 そのため、零夜が加奈の呟きを聞くことはない。
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