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「ねぇ、夜。前から聞きたかったことがあるんだけどさ」 そんな雰囲気を払拭するためか、玲華は何事もなかったかのように隣にいる零夜に話しかけた。 「何だ?」 「こういう時に言うのもなんだけど、この施設の名前、そのまますぎだと思わない?」 「あぁ、それは前から思ってた」 鳳条院。それがこの施設の名前なのだが、この施設の設立者の名前が鳳条。零夜と玲華の知る限りでは全国に数ヵ所であるが、実際の数は2人の知るものよりも多く存在している。 「そっか、夜も私と同じことを思ってたのか」 玲華はどこか嬉しそうにそう言いながら、歩き始めた。玲華が急に歩き始めたため、零夜は僅かに出遅れてしまったが、すぐに玲華の隣に並んで歩く。 零夜と玲華が現在向かっているのはこれから通うことになる聖憐学園、その高等部である。2人は今春からその高校に通うことになるのだが、特別な理由が無い限りは全寮制であるため、入学式を前に寮生活を始める必要がある。それに学園の場所は施設から電車と徒歩で約3時間かかる場所にあるため、全寮制でなくても2人はどこかの部屋を借りる必要があるため、全寮制の方が助かっている。
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