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「多分、夜は私のことを想って言ってる。確かに私は避けられたりすることは嫌だけど、夜が避けられることも嫌なんだよ?」 それに対して零夜は何も言えない。言いたいことあるのだが、それを言ったところで玲華の想いを変えることは出来ないということが分かっているからだ。 「それに夜は他人に対して優し過ぎる。でも、その行動の中には自己犠牲が伴うことがある。だから、人との関わりを増やすことで知ってほしい。夜を大切にしている人もいるって」 零夜は決して気がついて居ないわけではない。自身を大切に想っている人がいることも知っている。それでも罪の意識が強すぎるせいか、その想いを受け入れることが出来ないでいる。 自身を誰より大切にしてくれているであろう父を、世界的な大量殺人的にしてしまったという罪。それを誰が許せるのだろうかという想い。零夜と父だけが知っている殺人へのきっかけ。もちろん、零夜と父にもそのようなつもりは全くなかった。それでも零夜には自身のせいだという想いが強く存在している。 「でもやっぱり、早く馴染むのは難しいよね。ゆっくりと馴染もう?夜なら今の言葉である程度は察しているだろうし、夜のことを誰が大切に思っているのか」 そう言った玲華の表情は心なしか赤いように見える。
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