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「何か、湿っぽくなっちゃったね。ごめん」
「いいよ。玲華は俺のことを考えて言ってくれたのだから」
「それならいいんだけど。あ、もう一つ。夜の持ってる力のことなんだけど」
「それがどうかしたのか?」
「色々と調べているみたいだけど、何かわかった?」
零夜の持つ力。それは霧隍家に関連があるらしいということまでは零夜は調べることができた。しかし、それよりも詳しいことの記された資料は住んでいた家の父の部屋から無くなっていた。それは警察の知り合いから得た情報であり、その際に力も使っていたため、確信であった。
「いや、何も。霧隍家に関連するということは前にも話したけど、それ以降は」
「そっか……でも、むやみに使わないようにね」
「わかってる。周りにいる人の声に出していない考えを聞いたり、記憶を見るなんて力、危険過ぎる」
知られたくない考えや記憶は誰にでもある。それをほぼ無条件で知ることが出来るという力の危険性は零夜自身が一番分かっている。玲華が力のことを知っているのは以前、零夜が使わざるを得ない状況の際に玲華も近くにいたためである。そうでなければ、零夜が自身の口から言うことはない。
「そうだね。それを私のときみたいにならないようにしないとね。ところで、夜。その力のこと、明夜さんと私以外に知っている人ってどれくらい居るの?聞いたことないけど」
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