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学校に着けば、鞄から鏡を取り出す。
『やだー。にきび増えてる。』
鼻にできたにきび。果たしてこのにきびはなんというにきびなのだろう。
『優奈、鼻ににきびできてんじゃん。』
そう言いながら、私より先に
来ていた大好きな彼は近寄ってきた。
『鼻にできたにきびの名前知ってる?』
彼は私に問いかけてきた。
同じこと考えてたんだ。
なんて、少し嬉しくなった。
『分かんない。知ってるの?』
『うん。俺もできてるもん』
そう言って、彼は自分の顔にあったマスクをはずした。
彼の鼻には、
真っ赤なにきびが一つ。
『鼻にできるにきびは、両想いにきびって言うんだって。両想いの男女にできる両想いの証』
そう言って、笑う彼。
『優奈が俺のこと好きで、俺も優奈のことが好きだってこと』
私は顔を真っ赤にさせた。
そんなことも気にせずに、彼は
微笑みながら言った。
『にきびは薬を塗ったら治る。
でも、優奈への想いは消えないから』
END
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