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足早に過ぎる日々は記憶にもほとんど残らず、気付けば、一週間が経過していた。
晴天ではないが、雨は降っていない。テストは行われそうだ。
ブーンとドクオが住むアロプス町から、歩いて二時間程度。
ヴィップ城下町は、それほど離れた場所ではない。
この日は臨時で輸送屋が町に多く集まっていたので、尚更移動は苦にならなかった。
普段は子供の遊び場、老人の憩いの場として機能している国立公園だが、この日は殺伐としていた。
ガタイの良い男たちが、闘志を漲らせている。
鋭い双眸を光らせ、荒い吐息を振り撒く。
まだ三十にもなっていない青年ばかりだが、みな血気は盛んだった。
公園の東側出入り口に設けられた受付で身分証明をし、受験番号を割り振られた。
ドクオは0863、そしてブーンは0864。到着が遅かったせいもあり、番号はかなり大きかった。
(兵`Д´)「全員志願者だな? 迷子ではないな?」
反対側の出入り口から入って来たらしい10人ほどの兵士が、公園の中央で固まっていた。
公園の入口で待っていた志願者たちが、中央へと歩み寄る。
その数は、千を超えているだろう、とブーンは思った。
(兵`Д´)「これよりヴィップ国軍の入軍テストを行う。 入口の受付で付けられた受験番号の若い順に前に来い。 10人同時に行うから、0001番から0010番までが試験対象だ。早くしろ」
志願者の固まりの中から、慌てて青年たちが飛び出してきた。
筋肉隆々の男から幼い顔つきの男まで、風貌は様々だった。
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