目覚め

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「…菩薩。用はなんだ」 「…夜宵様!!」 バンッ!とノックも一つもなしにドアを勢い良く開け挨拶なしに用件を聞く夜宵に二郎神は目を吊り上げた。 だが、夜宵はどこ吹く風だ。 「…二郎神無駄だ。 こいつにお前のお説教は効かねぇよ。 …にしても、相変わらずだな…。お前はノックもできねぇのか?」 呆れた顔して机に片肘ついて言う黒髪の女 この目の前の人物こそ 天界を司る五大菩薩の一柱、慈愛と慈悲の象徴 観世音菩薩 夜宵とは古くからの付き合いだ。 ちなみに夜宵が口が悪いのはこの菩薩のせいだと思っている。 「…あんただって、俺の部屋に勝手に入るだろ?お相子だ」 「俺はいいんだよ。」 いいわけねぇだろと内心思いつつも早く本題に入って用を片付けたい為、用件を聞いた。 「…っで?なんだよ? 用件はただ、人をからかいたい為だけに呼んだとか言ったらシバくぞ? あの観世音菩薩に対してあんな態度を平然とできるのは恐らくこの天界において夜宵一人だけであろうと二郎神は深いため息ついた。 「…最近頻繁に見るのか?」 「…何をだよ?」 「例の夢だよ。」 “例の夢”と告げた瞬間 眉間の皴が深くなる夜宵を見て菩薩は夜宵に気付かれないように小さくため息ついた。 「(…そろそろ頃合い…か)」 「…やっぱり、お前、何か知ってるだろ?」 「…知ってる…と言ったら?」 「…別に、ただ、釈然としないだけだ。」 菩薩は静かに夜宵を見つめた。 そして、ある人物の名前を告げた。 「…悟空。」 「?…悟空??誰だ?」 不思議そうに首を傾げる夜宵に菩薩は笑った。 その隣で二郎神はただ静かに成り行きを見守っていた。 「(……無意識…ということか?)」 「菩薩?」 「いや、悪いな…。 こっちの話しだ。 夜宵。お前に…」 「断る」 「……まだ、何も言ってないだろーが……」 用件を聞く前にビシャリと即答で断る夜宵にさすがの菩薩も呆れた。 「お前の用件は録なことがないことから長年の付き合いで熟知しているからな」 「…なら、諦めろ」 「ふざけんな」 「お前、仮にもこの観世音菩薩様の頼み事を断るとはいい度胸だな?」 「めんどくせぇーだよ。」 それまで黙って聞いてた二郎神は呆れにも似たため息をついた。 観世音菩薩でさえ大変なのに夜宵の観世音菩薩にも引けを取らないこの性格。 加え口や態度の悪さ 頭を抱えたくなる 否、すでに抱えている。
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