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『…こんぜ…』
『早く出ろ。悟空!!!』
目の前で消えていく命の灯。
今まで沢山の命を奪ってきたのに大切な人達を失う悲しみは想像つかない。
これが今まで沢山の命を奪ってきた自分への罰なのか…。
自分はまた、誰も守れない…。
目の前で大切な人達が苦しんでるのに…。
『がは……ッ!!』
『……金禅!!!』
悟空が金禅の側に駆け寄り、ゲートを開けようと必死に叫びもがいてる。
それなのに、俺は動けない…。
『開けよこのッ開けって!!!』
『……行け。悟空。』
『イヤだ!!!』
『……悟空!!!』
ガッと悟空の手を掴む金禅に悟空はビクッと動きを止めた…。
『…最初に手を…差し延べたのはお前の方だったな』
『金禅…?』
『…次は必ず…俺が…俺がお前に手を差し出すからきっと差し出すから…』
そして、金禅は悟空の頬に触れて
『……あぁ、やっぱり……太陽みてぇだ』
と、笑った。
なぁ、金禅…。
なんでそんな風に笑える?
なんでそんな風に…。
『……夜…宵。』
息をするのもやっとな金禅は弱々しくけれどハッキリとした口調で俺の名前を呼んだ。
そして、金禅はそっと俺の頬に触れた。
俺は泣きそうになるのを必死に我慢した。
『……約束。守れそうにない…。』
『!!』
『お前との約束…。』
そんなこと言うな…。
そんなこと今、言うな…。
俺は…。
『……また、お前を一人にするな…。』
『……一人じゃない。』
『?』
『この子が居る。
俺はお前等の分までこの子を守る。』
俺は真っ直ぐ金禅を見た。
それを見た金禅は一瞬、驚きそして安心した様に笑った…。
『やっぱり、お前は強いな…。』
『……約束だ。』
『あぁ…。夜宵…』
『?』
『愛してる』
それが金禅の最後の言葉だった……。
悟空は叫び、泣き
俺はそんな悟空を必死に抱きしめた…。
なぁ、金禅…。
酷いじゃないか…。
この子を置いて…。
この子にはお前しかいないのに…。
俺達を置いて行くなんて……。
『…金禅。俺がこの子を守る。必ず守ってやる。』
俺は悟空を強く抱きしめた。
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