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「……けるな」
「どうしたもっと惰性で生きろよ人間。愚かに欲を貪るのがお似合いだぞ」
「ふざけるなよ……死ぬほど欲しいものも、死んででも守りたい人も、殺したいほど憎い奴も居ない。死んでも良いと思える充実感も無い。そんな中でずっと生きろってお前は言うのか」
数秒不思議そうに僕を眺めてから、アリスは悪戯を思いついた時の子供のように意地悪く笑った。
「そうだなー……解った。戻してやろうじゃないか人間」
「本当か!」
「本当さ。そのかわり……」
彼女はもったいぶるように言葉を飲み込んで、こちらを見つめた。
「僕の身体を元に戻してくれるのなら、僕に出来ることなら何でもするよ」
「そうだな、お前には『死にたくない』と思うまで生きてもらうとしよう。お前が望む物は全てやろう。『このまま生きていたい』そうお前が思った時、私がお前を殺す。良いな人間?」
「人間じゃない御影だ。御影零一。それにそれじゃあ死にたくても死ねないじゃないか。」
「黙れ零一。男に二言は無いと言うだろう?」
彼女はシニカルに笑った。
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