不死者は不死を語る

3/9
前へ
/87ページ
次へ
 髪を手で前後に撫でているとアリスは言った。 「そんな事できてたまるか。もし可能だとしたら一体全体」 「『僕のプライバシーはどうなるんだよ』か?」  僕が考えていることをそっくりそのまま言ってみせると、したり顔で彼女は笑った。   どうやら透けて見えるというのは本当らしい。不死を証明された後のせいか、僕の常識のダムは決壊しているようだった。 「解かった。お前が覗くってんなら見せてやるよ僕の中のとんでも小宇宙をな。」 「なっ……お前……ばかっ……何を……考えて」 「高校生男子をなめるなよ。見えるというなら見せてやるよ。男子高校生の妄想力をな」  考えうる全精力を使って脳内をピンクに染めた。卑猥な妄想で埋め尽くした。  そうとどのつまり僕は馬鹿だった。救いようもない馬鹿だったのだ。化け物じみたアリスが照れていたのが拍車をかけた。 「ぜっ零一……お前は救いようもないばかだ!」  鉄鎚である。形容ではなく鉄の鎚だった。  僕が今、不死でなければ考えられない制裁だった。こめかみを横殴りに打ったそれは、僕の頭蓋骨にひびを入れたと思われるとこで止まった。
/87ページ

最初のコメントを投稿しよう!

22人が本棚に入れています
本棚に追加