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髪を手で前後に撫でているとアリスは言った。
「そんな事できてたまるか。もし可能だとしたら一体全体」
「『僕のプライバシーはどうなるんだよ』か?」
僕が考えていることをそっくりそのまま言ってみせると、したり顔で彼女は笑った。
どうやら透けて見えるというのは本当らしい。不死を証明された後のせいか、僕の常識のダムは決壊しているようだった。
「解かった。お前が覗くってんなら見せてやるよ僕の中のとんでも小宇宙をな。」
「なっ……お前……ばかっ……何を……考えて」
「高校生男子をなめるなよ。見えるというなら見せてやるよ。男子高校生の妄想力をな」
考えうる全精力を使って脳内をピンクに染めた。卑猥な妄想で埋め尽くした。
そうとどのつまり僕は馬鹿だった。救いようもない馬鹿だったのだ。化け物じみたアリスが照れていたのが拍車をかけた。
「ぜっ零一……お前は救いようもないばかだ!」
鉄鎚である。形容ではなく鉄の鎚だった。
僕が今、不死でなければ考えられない制裁だった。こめかみを横殴りに打ったそれは、僕の頭蓋骨にひびを入れたと思われるとこで止まった。
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