不死者は冷ややかに笑う

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 妖しくて怪しい者と書いて妖怪と呼ぶ。  それは古来からこの日本に住んでいて、千歳にも近い時を生きるという。    その手の類の物を信じるわけでは無いが、もし出会う事があるなら尋ねてみたかった。 「そんなに生きて飽きませんか?」 と尋ねてみたかった。  事実十六年と余月生きてきた僕はうんざりしかけていたところだった。  早くエンディングが見たかった。  それは推理小説を逆から読んでしまいたくなる、あの衝動と良く似た感情だった。    舞台の大団円のようなしびれる結末が欲しかった。  でもそんな結末が自分に訪れないことも知っていた。  だからこそサッとあっさり消えることができれば楽かもしれないとも思った。  だから僕は自殺でも他殺でもない何かであっさりぽっくり死んでしまえれば大満足だった。  「だった」というのは過去形ということで今となっては無理な話という事だ。
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