不死者は学び舎の戸を叩く―転

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「早いのは嫌われるぞ。お前を不死にしたのは、あのように言ったが伊達や酔狂だけではない。明確な目的があってこその事だ。私のこの性格でも退屈潰しに仲間なぞ作らない」  「まあ……個人的な感情も一割ほど含まれているけどな」とアリスは付け足す。  というか性格には自覚はあったという事に驚きだ。純度百パーセントの「娯楽」で生きてるような気がしていたが違うらしい。 「失礼な」 「覗いても言わないんじゃないのか?」 「名誉に関われば別だ。まあ目的だが、私の存在維持だ。私のような『化け物』の部類だが存在するには条件がある。」  アリスは指を立てて続けてこう言った。 「『存在を望まれる』ことと『存在していると想われる』ことだ。望まれ生じ、想われ存続する」 「それと俺とが関係あるのか?」   「言っただろう。必要なのは『望み』と『想い』だ。『望み』に関しては人間全てが『不死』を否定しなければ絶えない。」
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