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「が、『想い』は私が人前に現れない限り生じえない。かと言って狂科学者共に切り身の標本にされてはかなわんからな。効率的なのは人間の協力者を得ることなわけだが――その点お前はうってつけだ」
屋上のフェンスにもたれかかってアリスは僕を指差す。
彼女が自分を「化け物」と称したことも、僕を「うってつけ」と称した事も意外だ。
「なんでだ。僕はオカルトマニアでもなんでもないぞ」
「死にたがってる奴を死ねなくしたら……はたしてどうするのだろうな? なあ零一お前が一番良く知ってるだろう?」
正直言って、してやられたと思った。屋上が僕の頭をほどよく冷やして、浅い思慮がフル活動して答えを導き出した。
言ってしまえば、僕はアリスの事を忘れないだろう。「不死」なんてはた迷惑な体質にした奴の事は忘れないはずだ。
はっきり言って憎たらしい。僕の理性は「戻れる」という点が留めてるにすぎないのだ。
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