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だけれど僕は伊吹の顔すらまともに見れない。
今も目線は彼女の鞄に……息吹の鞄のジッパーは中途半端に開いていて、鞄の中身――手紙の包のようなものが見えた。
「伊吹、それは?」
「話を反らすなよ……って言いたいとこだけどこれか。これはアレだよラブレターだ。風紀委員なんてものをやってるからね、モテるのさ」
「最近のラブレターは『挑戦状』なんて書いてあるんだな。僕なんかは貰う経験すらないから解らないけど、最近の高校生は進んでるんだな」
「いんやゼロイチ。俺にとっては立派なラブレターさ」
「正義の味方も良いけど息吹も女の子なんだし、『俺』はやめた方が良いじゃないか? あと危ない事もやめなよ心配するから――」
――主に親御さんが。僕としては怪我さえしなければ一向に構わない。
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