不死者は学び舎の戸を叩く―開

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「あれ長谷部、伊吹の奴どこに行ったか知らないか?」  教室に入ってすぐ空席の違和感に気づいた。僕のちょうど左斜め、窓際の席に当たる席――息吹の席だ。 「知らねーな。知ってても三人も美少女独占しやがる不届き者に話す言葉は何も無いぞ。独占禁止法違反の罪で鎖国だ鎖国。しっしっ」  平坦な口調で長谷部は答えた。漫画片手に、右手の甲で僕をあしらう。はっきり言おう僕はコイツが大嫌いだ。 「話してんじゃん。オーラルコミュニケーションしてんじゃん。それに僕がいつ誰を独占したんだよ。」 「あとこれはお願いってわけでもない。……なあ長谷部。昨日お前どうやって家帰った?」
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