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「なるほどね……」
本の貸出受付で手早くバーコードを読み取りながら、委員長は呆れたように息をついた。
「それに委員長だって何だかんだ言いながら、僕の話し相手になってくれるじゃないか。優しんだから」
「馬鹿じゃないの?」
即答だった。それは冷ややかで鋭く突き刺さった。簡単に言えば怖かった。恐ろしかった。
*****
「『広辞林』ってなんだよ……『広辞苑』ならまだしも『広辞林』ってなんだよ……聞いてねえよ委員長……こんな抜群のネタを隠してたなんて」
軽度のカルチャーショックを受けながら、学校の塀沿いに歩く。
件の会話の後、委員長は僕に「広辞林(三省堂)」を渡すと、「そのスカスカの頭にこれ詰め込めばスポンジみたいに膨らむでしょ」と言うと図書室から僕を追い出した。
それを見て同室内に居たF組の長谷部がニヤリと笑ったので、帰り際に自転車の鍵穴に接着剤を流し込んでおいた。
長谷部はどうやら委員長のファンらしい。委員長は気づいてないけど。
「広辞林」を開いてペラペラめくる。どうやら「広辞林」とは「広辞苑」と大差の無い辞典だったらしい。
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