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「私としてはかまわんがな?」
また悪戯っ子の笑みを浮かべる。これがなければ、アリスは常識人ではないけれど弁えてくれる性格なので助かるのだが……
「かまうんだよ。お前がかまわなくても僕がかまうんだ」
すり寄る素振りをしてみせたアリスを引き剥がすと、「非常に残念だ」と笑いながら僕を見下した。
見下ろしてるのは僕だが、見下されてるのも僕だった。
「まったく、こんなとこ伊吹に見られでも――」
見られでもしたらお終いである。そう言いかけて自らフラグをおっ立てた愚かな自分に気がついた。
全くもって馬鹿だ。直線距離にして十メートルあるか無いかだろう、横断歩道を跨いでそこには――伊吹がいた。
「あらららら?零一クン何しちゃてくれてるかなー?」
「お約束かよ……」
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