58人が本棚に入れています
本棚に追加
数分後…
「アリス…どうかしら?」
「えっ?わぁ~…凄く似合ってるよ!!」
「まあ、本当?嬉しいわ、ありがとうvV」
ゆっくりと部屋の中に入って来たのは、美しい桃色の浴衣を身につけた女王様だった。
着付けはウミガメモドキに手伝ってもらったのだと思う
背後に立っていたウミガメモドキは、アリスに一礼すると
そそくさと下に戻って行った
大方、女王に邪魔するなとでも言われたのだろう
「…女王様、ちょっとこっち来て。髪の毛やってあげる」
アリスが手招きすると、素直に近付いて来て
目の前に腰掛ける彼女
今はいつもの鎌は持っていないらしい
『こうしていると、普通の女の子なのになぁ。
っていうか女王様髪綺麗…いいなぁ……』
そんな事を考えながら、持って来ていたピン止め等を使い
髪をアップに纏めていく
「……で~きた!」
最後の一本を止め、髪形の最終確認をする
…よし、我ながら良いできだ
いつもとは全く雰囲気が別人となった女王様
大人っぽいというか、なんというか…
とにかく、これで彼のウケはバッチリだろう
「ねぇアリス」
「ん、なぁに?」
「なんだか随分楽しそうだけれど…今日何かあるのかしら?」
「あっ、うん。その事なんだけど…出来れば今日一緒に、お祭りに行きたいな~って思」
「アリスが行くと言うなら、勿論行きますわ!!」
「そっ、そう…良かった」
アリスの言葉を遮り、もの凄い勢いで彼女の手を取った女王
「チェシャ猫達も一緒に行くんだけどね」
というアリスの言葉も、もう耳には入っていないようで
ただ、「アリスとお出かけ出来るのね!」などなど
ずっと呟き続けている
「それじゃあ、また夕方迎えに来るから…それまで、汚しちゃ駄目だよ?」
「えぇ、わかっているわ。待っているわね」
紅茶ごちそうさまでした。
それだけ言ってアリスは、部屋を出て行った
それを見送った女王は、アリスの座っていた椅子に今度は自分が腰掛け
窓から少女の後ろ姿を、ずっと眺めていたのだった
最初のコメントを投稿しよう!