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助かりたい。
そう言いたいところだが生憎声が出ない。拉致されていきなり鬘を出され、そして殺される。
俺の人生なんだったんだという感じだ。
沈黙が続いた。
すると目の前の奴は
「答えは分かった。………殺れ。」
嘘だろ俺死ぬのか。
何のために拉致されて来たんだろうか。
こいつらだって時間の無駄じゃなかったのか?
てゆうか俺に銃を当ててる奴の顔ったらヤバいな。人の事殺す気満々過ぎて怖い。
ぐいっと更に押し付けられる。
「うっ」
思わずでた呻き声。
あぁ、父さん母さん妹よ。俺は旅立つ。
大丈夫。あの世で見守ってるよ。
さよな‐‐―――――――
「待て。殺すな」
えっ…なに。
誰かとおもい振り返る。
人がせっかく最後の言葉を残そうって時に…。
そいつは俺より少し上に見える。
タレ目が特徴的で女受けのよさそうな顔。服装は黒…。所々に金糸の刺繍…。
さっきの赤い奴と比べ、ズボン…。
動きやすくしてるって訳か?
タレ目は続ける。
「こいつは殺すな。もう時間がない。これ以上待たせると民に不信感を募らせてしまう。違う女を探すための一時だけでもいい。時間を稼ぐことだ。」
「……」
俺死なないのかよ。なんだよ。
さっきまでの独白を思い出すとなんか恥ずかしい。
「お前らの仕事は終わりだ。自室に戻れ。後は俺に任せろ。」タレ目の色っぽい顔の割には堅いんだな…なんて印象を受ける。
まぁそいつの発言にしたがって、さっきの乱暴な奴等は部屋から出ていき、部屋にはそいつと俺だけが残された。
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