1人が本棚に入れています
本棚に追加
「めでたしめでたし、じゃねぇか。その麗女王っていうのが国を治めりゃいい話だろ?」
するとタレ目は
「黙れ。最後まで話を聞け。」
と俺を睨んだ。
なんなんだ。コイツ偉そうに。
タレ目は話を続ける。
「しかし、その女王も17歳の誕生日の夜、ベッドの上に血を残して消えた。国は今行方不明として捜索している。」
「なんか凄いな。次々に王族が殺されていき、最後の砦の女王が行方不明ってか。…無いとは思うが、その事は国民には公開してないよな?」
「当たり前だ。国民には女王は体調が悪いと報告した。幾分かマシだろう?ここ最近で王族に酷いことが起こり続けているのに、これ以上不安を高められては国としての働きに影響が出る。第一、その為にお前を連れてきたんだ。」
え……。
「意味が分からないんだが…。」
「先程も言ったように女王が不在の間、お前にはこの国の女王をやってもらう。」
タレ目が俺を見下ろす。
待て。
「俺全く関係ねぇだろ。しかも俺男だし。そりゃ女王が見つかるまでの代わりというのは分かる。長い間体調不良で誤魔化すのは無理があるし、それこそ国民の不安を煽っちまうからな。」
「よく分かっている。」
タレ目が笑う。
とても、嫌な笑顔だ。
「国内で口外してもらっては困るからな。その為にわざわざ海を渡り女王と瓜二つなお前を拐ってきたんだ。ただ男とは知らなかったが。」
「おい。俺は女物の服なんか着てないぞ。よく見ろ、女に見えるか?言っとくが文化の違いなんて言わせねぇからな。」
俺の短い髪を引っ張り見せつけてやる。
「過ぎたことは仕方ないだろう?急いでたんだ。拉致は迅速に行わなければ見つかって揉めるからな。諦めろ。さぁ、さっさと着けろ。」
タレ目は鬘を俺の前におとす。
「どうだか。そんなの大して問題にしてないだろうよ。」
鬘をいじりながら、俺がポツリと呟いた。
タレ目がこちらを見て微笑む。
「言ってみろ。興味がある。」続きを催促してきた。
最初のコメントを投稿しよう!