宮野くんの憂鬱な日々

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一樹は来ていた服を脱ぎ、お気に入りのセーターとパンツを身につけ、部屋を出て玄関へと向かう。 そして、一樹が靴を履いたそのとき、インターホンの音が家の中に鳴り響いた。 一体誰がきたのだろう、一樹はそう思い、玄関扉の魚眼レンズで外の様子を伺う。 すると、玄関扉の前に、髭を生やした中年の男が一人立っていた。 一樹はその男に見覚えがあった。 間違いなく、どこかで見たことがあった。 だけど、なかなか思い出すことができない。 一樹はそのまま魚眼レンズを覗きながら考える。 そして、一樹はようやくその男が誰であるかを思いだした。 そう、温泉で倒れていたあの男だ。 一樹が玄関扉を開けようとしたとき、再びインターホンが鳴り響いた。 一樹は、「はい」と返事をして扉を開ける。 すると、男は満面の笑みを浮かべて、「こんにちは」と言った。 「こんにちは。あなたは温泉で倒れていたあの人ですよね?」 「そうだよ。久しぶりだね」 「お久しぶりです。でも、どうして僕の家がわかったんですか?」 「いやいや、実はね、この前、公園で君の姿を見つけて、声をかけようと思って、後ろから肩に手を乗せたんだけど、どうやら君を怖がらせてしまったみたいで、君が逃げ出してしまって。それから君を見つけては、声をかけようと思い、後からついて行ったんだけど、怖がらせても悪いと思って、なかなか声もかけられなくて」 男は申し訳なさそうに言った。 「えっ!! あの時の人はあなただったんですか!?」 「そうなんだよ。あの時はごめんね」 「いえいえ、わかってよかったです」 一樹は胸をなで下ろしながら言った。 「ごめんね。改めて自己紹介するよ。僕の名前は雪野村男。雪村学園という施設の学園長をしているんだ」 「僕は宮野一樹です」 自己紹介を終えた二人は、ようやく笑顔になり、握手を交わした。
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