プロローグ

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俺がヒナを好きなんだということを自覚したのは突然だった。 昔から可愛いとは思ってたし,一緒にいるのも楽しかった。でもそれはヒナに恋愛感情を抱いているからじゃなく,ただ単に親友だから,幼馴染みだからそうなんだと思ってた。 ある日,俺は偶然ヒナが告白される現場を見た。まあ実際には声が聞こえただけで,見てはないんだけど。 「天川さんのことが好きですっ」 その言葉を聞いた途端,自分の心の中をかなりモヤモヤした気持ちが支配した。 「ごめんなさい。気持ちは嬉しいんだけど…」 そして,ヒナがそう答えた瞬間に,そのモヤモヤの支配から開放された。逆になぜか安堵感のようなものが訪れる。 その時である。俺は自分がヒナのことを好きなんだと自覚したのは。 「城所ですか?」 「ふぇ?」 「やっぱり天川さんは,城所が好きなんですか?」 「そそそ,そんなわけないよ。龍ちゃんは友達だけど,そんな好きとはそういうわけじゃなくて…」 俺は理解した。ヒナは俺のことをそういう対象としては見てない。 だから俺は,その恋心に蓋をした。これがヒナにバレたら,これまでの関係が崩壊してしまうかもしれない。それなら,最初から俺もヒナのことが好きじゃなかったことにしよう。そうすれば,親友としてヒナとは一緒にいられるから。
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