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「はい。じゃあ席ついて。ギリギリOKにしといてあげる。」
山田先生がそう言うと、俺の方をちらっと見て、"通常通り"朝の会を始めた。
みんな普通に接してくる。俺が昨日起こした"あの事件"を、気にも留めない。
それじゃ、あの事件について、少し回想をしよう。正直語りたくない気満々なんだが、いかんせん話が進まない。
そう、それは、一週間前、たったの一週間前の出来事だった。
――――
仲の良かった友達が死んだ。
そう聞いたのは、それが起きた翌日の朝の会の時だった。
それを聞いたクラスのみんなは、泣いたり、顔を伏せていたり、はたまたボーっとしていた。俺もそのうちの一人。
圭一は泣いていて、言葉も泣いていた。
それから、そいつの葬儀があった。クラスの全員が出席して、別れを惜しんでいた。
俺はそこでも泣かなかった。
いや、これ以上誤魔化すのはよそう。
俺は"何も感じなかった"。
ああ、そうなんだ。と。
まるで今日の夕食のメニューを聞かれた時みたいに、なんでもないように。
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