セカンドシングル

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セカンドシングル

いよいよ セカンドシングルの発売日が迫って来た。 番宣などでテレビ出演も 増えた。 そんな時は 健太が 「曲の説明をしたり仕切ってくれる」 私達 3人はニコニコと 頷いている。 仕事が 終わり楽屋に戻ると健太が 「何か、俺、喋る担当みたいになってる」 と皆を見ながら言う… 「イヤ?」 と訪ねると う~んと 左上に目線をやる。 もうすぐ答えが出るかなと 健太をジッと見た。 「やっぱ俺で、良いや、3人に任すと何を言い出すやら不安になるから」 そう?ぢゃよろしく~ と3人は 健太ににこやかに お願いした。 「仕方無いなぁ…でもフォローは頼むぞ!」 と言う。 ハーイ!と皆 軽い。 健太は ハァーと肩を落とした。 瞬君と正義君が トイレに立った。 久し振りに2人きり… 静まり帰った楽屋で私は「健太…私ね、歌う時、ストリート時代を想い浮かべながら歌ってる」 「知ってるよ。ユカリちゃんの目はあの時のままだ。最初は不安げな目だけど歌に入ると目に力がよみがえる、そして僕の目を見ながら歌う。その時は、僕も公園で歌っている気分に戻れる」 「そっか。前みたいにあまり逢えないね…軟禁状態だよ」 「輝さんがいつも側に居てくれるんでしょ…」 心にズキンと来た…。 「でもね、私は気持ちは健太と繋がってるって、想ってる…んだ…よ」 涙で健太が 霞んで行った。 「輝さんがいれば、歌もユカリちゃん作れるぢゃん…」 健太は 淡々と答えた。 何故だか 悲しくて 悔しかった。 私は 耐えきれず トイレに向かった。 その時 林プロデューサーが 前から歩いて来た。 ヤバイ涙に気付かれてしまう。 「どうした。こっち来い」 と林プロデューサーに小さな 部屋へと 連れて行かれた。 一部始終を話した。 「そうか。きっと健太はずっと憧れて来た輝にユカリちゃんを取られた感じに想ったんだろぅな」 「そう…ですか」 やっと答えたが涙が 落ちた。 「仲間といっても、以前は付き合っていたんだろっ?男は別れた女をなかなか忘れられない生き物だ」 と頭を撫でられた。 「私も健太への気持ちはありますが、それは、胸の奥にしまいました。」 「女はつぇーから割り切れるんだよ。男は女々しいんだよ」 「狡いです」 と何故か林プロデューサーを 睨んでしまう。
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