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「累!聞いたか!悟が処刑されちまう!」
「えっ……」
少女は腰が抜けた。大切な兄が自分を逃がしたために処刑をされてしまうからそして、急いで助けに行こうとするが少年に止められる。
「離して!兄ちゃんが!兄ちゃんが!」
「馬鹿やろう!お前が捕まってしまったら兄さんは自分を永遠に責めるぞ!それにお前はお兄さんの分まで生きないといけないんだ!しっかりしろ!」
取り乱していた少女は大人しくなりそして静かに泣いた。大好きだった兄さん。優しい兄さん。意地悪な兄さん。たくさんの思いがごちゃ混ぜで何も届かなかった。
少年は知っていた。初恋の人は俺ではない。………悟だと。少年は自分の無力を痛感しながら少女を優しく包むように抱きしめた。
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