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『くーれないーにそーまーたー…』
世間一般的に怠惰な生活を認められている夏休みの朝、俺の携帯が短い一生を懸命に生きる蝉の様にシャウトしている。
心地良い目覚めの微睡みの中、携帯の液晶画面を開いて見るとそこには何故知り合ってしまったかと何度も後悔したK師匠の名前と番号が映し出されていた。
回転の悪い頭で電話に出るかどうか少し考えた後、俺の手は携帯の通話ボタンを押すことを選択していた。
俺『おはよっす。どうしたんすか、こんな朝早くから…』
K師匠『てめぇ…学生の分際でこんな時間まで寝てんじゃねぇよ。そんな事より、面白い仕事が入ったからてめぇも来いや。取り敢えず後1時間ぐらいで、てめぇの家に着くから支度しとけな。』
K師匠はそう言って俺の返答を待たず、一方的に電話を切った。
この人はいつもこんな感じで人権を無視して一方的に話を始め、そして終わらせる。
目を擦りながら携帯の液晶を見るとまだ朝の六時半…
あんたは老人か…なんて愚痴ってみても確実にあの人は1時間後に我が家の前にやってくるので、俺は急いで支度を始めるが、俺の歯ブラシのブラシ部分が何故か全て抜け落ちていて、急いでいるのに何だよ。と夏の暑さも相まってイライラした。
(結局その日はモンダミン的なやつと糸ようじで我慢した…)
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