ラブストーリーも突然に

5/10
前へ
/47ページ
次へ
「じゃあまた明日な」 「宿題忘れないようにね?」 二人は僕の家とは違う方角に住んでいるため、途中で別れる。 寒いから僕も早く帰りたいが、あと10分は歩かなければならない。 いつもなら10分ぐらい妄想していればすぐなのだが、今日はそれは難しいだろう。 なぜならば周囲にはリア充が満載だからだ。 なぜ今日はこんなに多いのだろうか? 少し考えてみるとすぐに答えは分かった。 「そっか、今日はクリスマスイブか…」 僕たちの中では話題にも挙がらなかったので忘れかけていた。 まぁ僕たちは意図的にこの話題を避けていたのだが。 だって悲しくなるもん。 彼女居ない歴=年齢であり、このまま順調に暮らせば彼女居ない歴=享年と言うことになるからだ。 そんな僕らがクリスマスを語っても愚痴か悪口しか出てこないだろう。 そして気持ちはブルーになるだけだ。 だからこそ僕らはクリスマスの話題に触れなかった。 どれだけ街にリア充が蔓延していようとも、イルミネーションが綺麗に光っていようとも、コンビニの店員がサンタの服を着ていようとも。 …でもあの店員さんのサンタ姿似合ってたな。
/47ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加