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―――キラ・ミカペア。
「意外に魔物がいないなぁ」
小剣を地面に突き刺し、辺りを見渡すキラ。
小剣と言っても、常人なら両手でなければ振るえないくらいの大きさを持つ。
リュウキ隊メンバーは、ほとんどがショートブレイドを用いている。
しかし、レイナはそれより少し大型のブレイド、リュウキは一番大きいロングブレイドを使用している。
代わりに、リュウキは銃を持っていない。
そうやって自分の個性に合わせて武器を使用するのも、生きていくには重要なことなのだ。
「……………」
ミカは黙ってキラの隣に立っている。
いつ敵が来てもいいように、片手にライトガンを持っている。
「それにしても、こんなに少ないと…、逆に不自然だな」
この町の壊れ方は、異常だ。
それこそ、魔物が何体もいなければ話にならないくらいの壊れっぷりだ。
だが、どうだ?
キラとミカが見つけた魔物は1桁数だけ。
明らかにおかしい。
「考えられることは三つあります。
一つ、既に魔物達はここを発った。
一つ、魔物の中でもかなり強い奴が小数で破壊した」
「なるほど、なぁ…」
キラは頷く。
この際、「三つと言っておいてなぜ二つ?」というツッコミはしないでおこう、と思った。
「魔物達の中でも、組織的に動く者達がいるのか……?」
キラは首を捻る。
突然、ミカにSOS通信が入った。
コウキとレイナからだった。
-――コウキ・レイナペア。
「な、なんなんだよ…お前っ!?」
「……人間?」
コウキはキャノンを、レイナはブレイドを構えている。
彼らの眼前にいるのは、翼と角を持った人間の姿をした『なにか』だった。
「ふん、俺達を知らないか……。
カゲモリ隊も、俺達の存在を必死に隠したいんだろうな」
身丈ほどもある大剣を片手で持ち、その場で振るった。
それだけで、二人は戦慄した。
「明らかに人間じゃねぇよな……」
「SOS通信を出した。
後は、みんなが来るまで持たせることができれば……っ!」
「もたせられると思うか……?
ゼロ-5、参る!」
翼を広げ、ゼロ-5と名乗った存在が、大剣を持って飛んでいく。
狙いは、人間二人の首。
「このっ!」
コウキがキャノンを起動させる。
大型の弾が放たれる。
だが、ゼロ-5は軽々と避けてしまった。
「任せて!」
「ふん…っ!!」
レイナが一撃を受け止めた。
が、あまりの勢いに負けて、壁まで吹っ飛ばされてしまった。
――強い……!
レイナは死を予感した。
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