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「母が作ったかどうかはわかりません。
ですが、確実に関わっています。
父はその翌年、行方不明になりました。
なので、父も何かしら関係していると、俺は思っています」
沈黙を保っていたリュウキは、ついに口を開いた。
「お前はなぜカゲモリ隊に入った?」
「父を殺すためです」
キラは表情一つ変えず、即答した。
それを聞いて、リュウキはがははと笑う。
「なるほど大いに結構!
なかなか骨がありそうな奴だな!!」
リュウキはキラの肩をバシバシ叩く。
そして、耳元で囁いた。
「俺も、お前と同じだよ」
キラはリュウキの顔を見た。
変わらない笑顔を浮かべている。
「んじゃな!
俺は先に戻ってるぞ!!」
リュウキはそう言って、去っていった。
キラはその後ろ姿に向かって、敬礼した。
―――場面は変わって、崩壊した町……、魔物に襲われた町になった。
キラのカゲモリ隊としての、初めての出動の時だ。
「お前は……」
キラが町の魔物を殺して回っていた時、倒壊した建物の陰で座っている少女を見つけた。
その瞳は荒み、体中傷だらけ、服はボロボロだった。
「なんですか?
貴方も体目当ての人ですか?
お金がないなら、ムリしない方がいいです。
あの人達みたいになりますから」
キラは周りに倒れる男達を見た。
喉元や心臓といった急所を的確に貫かれていた。
彼女の手には血まみれのナイフ。
どうやら、彼女がやったようだ。
「俺はカゲモリ隊、お前を保護する」
少女に手を伸ばす。
が、少女はそれを拒む。
「軍隊に保護されるくらいなら、死んだ方がマシです」
キラを睨みつける。
彼女は今まで、どれほどの苦しみを味わってきたのか…?
キラにはわからなかった。
「俺は軍人じゃない」
「似たようなものです。
昔で言う、『自衛隊』みたいなものじゃないですか」
少女はそう言って俯いた。
キラは黙ってポケットから紙とペンを取り出すと、彼女に手渡した。
「なら、お前の体を買おう。
好きな金額を書け」
「……冗談でしょう?」
キラを見た。
彼の表情は、まったく変わっていない。
少女は無表情で金額を書いた。
それはとてつもない額で、キラに払えるものでは到底なかった。
だが、キラはそれを受け取り、呟いた。
「これで、お前は俺の物だ」
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