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「で、だ。圭司」
怒りに震える圭の肩を奏は全く気にすることなく腕を回し、しかし言葉は少し遠慮がちに紡いだ
「…この夏子ちゃんって、可愛いのか?」
「は?」
圭の表情は一気に奏を軽蔑したものに変わった
当たり前だ
僕の顔も圭と同じ表情だ
「見た目しか興味ねぇのかよ、見損なったぜ兄貴」
「なっ!お前なぁ!」
ショックそうな奏だけど、こればっかりは僕も助け舟は出せない
確かに見た目というのは大事だとは思う
服とか雑貨とかだって、見た目も大事だろう
しかし人間をまず見た目で判断する、というのはどうも率直に頷くことはできない
…それは僕がイケメンではないから思うことなのかもしれないけれど
「はぁ。まあいいや。…会ったことないから知らねえんだよ。この手紙だって他の奴から託されたんだ」
「なるほど。随分ウブなんだな」
「そうなんかね」
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