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「兄ちゃん、どんだけ食べる気?」
僕の手元で騒がしくガチャガチャと混ぜられている、ボールの中の4コ分の生卵を見て陽向は怪訝そうな顔をした
「馬鹿。なわけないだろ。圭と奏の分もあるんだよ」
「あぁ、なるほど。へえ、ふうん…」
けど
違和感を感じさせる曖昧な了解を告げる陽向
彼女は小さな疑問を解決したはずなのに、まだ僕の隣から離れない
まぁそこは普通なら「なんだよ、邪魔だって」と僕が言うところなんだろうけど
僕には彼女の行動の意味が分かっていたから小さくため息をついた
だから卵をフライパンに流し込みながら
「…陽向の分も入ってるよ」
と今にもよだれを垂らしそうな分かりやすいこの妹に言ってやると、案の定だ
「兄ちゃん天才!さすが兄妹だよね!分かってる~ぅ♪」
と言うだけ言って今度はさっさと離れていった
「……お前に作らせると台所が大変なことになるからな」
と、その小さくなっていった背中に僕はつい本音を呟いた
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