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「なんだよ、おれのストリップ見たいのか。お前けっこうエロいな。」
「み、見ないですよ。何言ってんですか。藤原さんに言われたくありません。タオル取ってきます。」
俺は立ちあがって、部屋を出る。
「お前夕飯食ったか?」
「そう言えば、食べてないです。」
「そうだと思ったから、買ってきた。食ってろ。」
テーブルの上にビニール袋がある。中を覗くとかつ丼が二つ。この時間にかつ丼はちょっと。
シャワー室のドアが閉まる音を確認してから、タオルを置いて事務所に戻る。
かつ丼をビニール袋から出して、並べる。
食ってろと言われたので開けて見るけれど、あまり食欲がわかないので、もう一度蓋をする。藤原さんを待とう。
テレビを付ける。
特に見たい番組はないけれど、適当にチャンネルを変える。洋画でチャンネルを止める。シリーズものの泥棒映画。有名な俳優が何人も出てて、最後にどんでん返しがある。
初めのは見たけど、この続編はまだ見てない。
シャワー室のドアが開く音がして、少しすると藤原さん入って来た。
「なんだ、食べてないのか。待ってなくていいのに。」
俺の横の椅子に座って、わしゃわしゃタオルで頭を拭いている。着替えがないから、スーツのパンツにシャツを着てる。
「遠慮せずに食え。飯食ってないんだろ。」
「はい、でも、こんなに食べられそうになくて。」
「また、お前は、そんなだからちっこくて細いんだ。食べないとでかくなれないぞ。」
「マッチョが好きなんですか。」
「は?」
「いや、そういうほうが好みなら」
「あほか、お前は。俺はただ・・・お前の食生活が心配なだけだ。しょっちゅう飯抜いてるだろ。残してもいいから、食えるだけ食え。」
「じゃあ、いただきます。」
俺は蓋を開けて、箸を付ける。
藤原さんも食べ始める。
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