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「俺がムキムキのマッチョになったらどうします?」
「ん?んー、どうだろうな。」
藤原さんは意外に真剣な顔で考えてる。
「ちょっと鍛えようかなって思ってるんですけど。」
「引き締まってるくらいならいいけど、ムキムキのガチガチは嫌だな。」
でしょうね、俺も嫌です。
「そうですか、じゃあ、少しにしときます。」
「お前はどうなんだよ。」
藤原さんが訊き返してくる。
「え?」
俺は訊き返されると思わなかったので、藤原さんの顔を見る。
「俺だっていつまでも若くないぞ。そのうちおっさんだ。」
予想外のところを突かれた。
「えーっと、考えたことなかったですけど・・・、でも、いいんじゃないですか。だってそしたら俺も同じように歳とってるんですから。」
おかしなこと言うなと思って、笑えた。
「そうかよ。」
藤原さんも、ふっと笑ったように見えたけど。
食べながら、一緒に映画を見る。藤原さんは見たことがあるらしい。
この俳優がどうとか、いろいろ説明してくれる。映画好きなのか。
俺は結局半分も食べられなかった。残りは藤原さんが食べている。
「お前、資料見たか。」
いきなり訊かれる。
そうだ。そのことをすっかり忘れてた。
「はい、計画書見てください。それと、できたらだれか応援つけてほしいんですけど。」
準備してあった計画書を渡す。
「ああ、応援な、了解。誰がいい?」
「誰でもいいですけど、ただ、新人はちょっと、薬がらみだし。」
「そうだな。実はな、この案件をお前らに下ろすかどうかってだいぶ迷ったんだ。誰か付けるなら、タカヤかな。明日でいいから当たってみてくれるか。」
「はい。」
「計画書はこれでいいが、無茶はするなよ。危ないと思ったら、そこまでで引け。」
「わかってます。」
藤原さんはうんと頷く。
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