450人が本棚に入れています
本棚に追加
/118ページ
藤原さんは日付が変わってから帰っていった。
俺と藤原さんはつき合ってるんだよな。たぶん。
でも、好きと言われた訳じゃない。
俺も好きと言ったわけじゃない。
次の日は親の手前あまり外泊ばかりもしていられないので、一度家に戻ってから事務所へ。
タカヤさんには応援をお願いするメールを送っておいた。
返事はまだ来ていない。
一度事務所へ寄っても一度資料にざっと目を通す。
さて、行くか。
持ってきた私服に着替える。薬関係の情報収集に行くので制服ではまずい。
私服と言っても、俺の趣味じゃなくて、そういう場所に行っても浮かない服。
ロッカーに脇に突っ込まれているキャスターの着いた姿見を引っ張りだす。
うーん。イマイチ。
近くのボックスの引き出しを空ける。
中にはじゃらじゃらとアクセサリー類が入っている。変装用です。
ごつめの指輪やネックレスを着ける。
サングラスを掛ける。
ワックスで前髪を上げる。
ほんとはあまり顔を出さない方がいいけれど、サングラスがあるし、俺はいつも前髪を降ろしているので、これが一番印象が変わる。
ま、こんなもんかな。
目標は三軒。
マニアックな電気部品店。
ネイルサロン。
インポートのブランド免税店。
まずは、ネイルサロンから。
繁華街の入口にある小さなテナントビルの2階にある。
個室式のネイルサロンで、昼間は一般の、夜は主に夜のお仕事関係の方を客にしてる。
一応はまっとうなお店なんだが。
表からは入らない。
裏の従業員用の通用口のドアから入る。
入ってすぐエレベータがあるが、二階なので階段を使う。
ドアの横の数字パネルをを押す。
なぜか、俺はここの解錠コードを知っている。
ここはドアを空けると従業員の休憩室になってる。
その奥が事務所になっていて、閉店時には休憩室と事務所の間にもセキュリティが掛かる。だから、休憩室の入口の解錠コードだけ特別に教えて貰った。
ノックしてドアを空ける。
入ると、知らない女の人がこっちを見てる。
「こんにちは。」
挨拶する。
「こんにちは。」
女の人は挨拶を返してくれるけれど、明らかに不信そう。
最初のコメントを投稿しよう!