繋がり4

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「いや、ゲストっす、もともと俺はピンですから。」 「そうなの?でも前はずっとあのバンドで歌ってなかったっけ。」 「ボーカルが見つかるまでってことで、仮だったんで。」 「そうなんだー。どうしようかな、店早めに閉めちゃおうかな。」 マリさんはうーん、と考えている。 「でも、珍しいね。私のとこへくるなんて。」 マリさんが顔を上げる。 「さっきアツキさんとこ行ったんです。マリさんの話が出たんで。」 俺は左手を見せる。 おおーっといっておれの左手を取る。マリさんの爪は、青と水色のグラデーションにきらきら光る石が付いている。アツキさんがやったのかな。 「何、私の話って?」 「え、ああ、、さいきん俺が出てないって言ったんでしょ。」 「ああ、言ったかな、そんなこと。それで、持ってきてくれたの?」 「まあ、そんなとこです。それと、ちょっと聞きたいことあって。」 「ん?」 「俺の連れが、手出してるみたいなんですけど、さいきん出ました?」 マリさんの顔が一瞬真剣になる。 「んー、出てない。ちょっと今までとは違うみたい。」 マリさんは意味を理解してくれたみたいだ。ここでもないか。今までとは違う、か。 「その友達は早いとこ隔離して、首突っ込まないほうがいいよ。まったく金持ちの子が食い物になるとは、うまいんだかなんなんだか。」 金持ちの子。確かにN高は私立でどちらかというと裕福な家の子が多い。 「へえ、そーなんだ。じゃあ、俺も気を付けないと。」 俺はヘラっと言う。 「あんた学生じゃないでしょ。手出しちゃだめよ。」 手を出すなという口調がキツイ。そんなに危ないのか。まあ、どんな薬でも手を出すなとは日頃から言われてはいるけれど。 「俺が学生ならいいんですか。」 俺は聞いてみる。 「やっぱりね」 マリさんが呆れる。 「悪いけどあんたには渡せないし、あいにく、そんなに数が入ってくるもんでもないし、安くもないから。」 どういうことだろう。俺の意図を知ってる風な口ぶり。考えられるのは。 「アツキさん。」 俺は心当たりの名前を出す。 マリさんが頷く。 「さっき連絡があった。たぶん、あんたが来るから、ぜったい出すなってキツく言われた。あんたのこと大事なのよ。アツキは人と深く関わるタイプじゃない。そのアツキが気に掛けてるんだから、汲んであげなさい。」 マリさんが俺を諭す。
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