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「ないですね。」
「そうか。」
「タカヤさんがこっちに係ってるから呼ばれた、みたいなことを言ってましたけど。」
「そうか、なんだろうな。」
「タカヤさんのこの前ってなんですか。」
「あぁ、ゲームの海賊版だ、そうか、あれか。あんときユズルをサブに頼んだからな。断られたけど。」
「へえ。かわりは?」
「リサが入ってくれた。」
「彼女どうですか。」
「うん、いいよ。けっこう勘もいいし。かわいいし。」
タカヤさんの眼鏡に適ったんなら心配ないな。
まあ、ここのメンバーに手を出すようなことはないだろうけれど。
「おまえ、今日どうすんの?」
「どうしましょうね。当番なんでまだいますけど。」
「当番のとき、けっこう泊まってるよな。帰りたくないのか。」
メンバーのプライベートは踏み込まない、これも暗黙の了解のはず。歳がいくつでどこの学校に通っているかくらいの見てわかること以外、交友関係や私生活についての詳しいことは漏らさない。だからみな名前で呼び合う。お互いの苗字も知らない。知り得たとしても知らない振りをする。
「そんなことはありませんよ。」
俺は適当に答える。
「そうか。」
タカヤさんもそれ以上は聴いてこない。俺が話す気がないのを察したのだろう。
「マナト、明日はどうする?」
「俺は、今日気になった子を見つけたので、その子を探しにN高付近へ行くつもりです。」
「そうか、なら俺も行こうかな。」
「一緒にですか。」
「だめ?」
タカヤさんは上眼使いでかわいく言う。
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