繋がり5

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「そうか。わかった、そういうふうに報告しておく。とりあえず、危険は避けて出来る範囲で続けてくれ。」 「わかりました。」 「ユズルって、俺のこの前の追跡調査ですか?」 タカヤさんが藤原さんに聞く。 「ああ、よくわかったな。」 「なんかあったんですか?」 「ああ、まだ続いてる節があるんでな。とりあえず、目を光らせるためにな。」 「俺も入りましょうか、こっちと掛け持ちでも大丈夫ですよ。」 「いや、ユズルで大丈夫だ。とりあえずだから。」 「わかりました。必要になったら言ってください。」 「ああ。」 タカヤさんと話す藤原さんから目が離せない。どうしよう。ほんの少し会わなかっただけなのに。 「お前は大丈夫か?」 藤原さんが俺のほうを見る。 「はい。」 目が合うだけで、ドキッとする。 何気ない仕草さえ、俺には毒だ。 「じゃあ、何かあったら連絡をくれ。」 藤原さんは帰っていく。 どうしよう、帰ってしまう。 藤原さんがいなくなっても俺はドアを見つめたまま動けない。 「マナト?どうした?」 タカヤさんが俺の様子に声を掛ける。 「タカヤさん、俺、ちょっと藤原さんに話があって、すいません、閉めて帰ってください。」 「え?」 俺は部屋を飛び出した。 エレベータへ走る、エレベータの表示は1階。 どうしよう、追いつけない。 俺は階段へ周り駆け下りる。 藤原さん、待って。 階段を駆け下りて、エレベータの前に走ると藤原さんが立っていた。 藤原さんはふっと笑う。 「来たか。」 藤原さんは、息を切らす俺に歩み寄る。 俺は走ってきたのもあって息が切れて、言葉が出ない。ただ藤原さんを見詰める。 「来ると思ったから、待ってた。」 待ってて、くれた。 藤原さんは、俺が息を整えるのを待って俺の背中を押す。 「行こう。」 「どこへ?」 「ホテル。」 「え。」 「うそ。お前制服だから駄目だな。」 近くのコインパーキングに駐車されていた車に乗り込む。 途中でスーパーに寄って出来合いの弁当を買い込む。
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