はじまり2

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叶わない、と自分を誤魔化して諦めようとした。けど、無理だった。 だから、諦めるのは諦めた。 好きでいよう。勝手に好きでいればいい。 そう決めると、気持ちも落ち着いていたはず。 しかし、やはり気持ちに動かされてここへ来てしまった。 窓の外を見ながら、はぁっとため息をつく。 行き場のない思い。 ドアが開く音がして人が入って来る。 「ユズル」 名前を呼ばれた声に驚き、びくっとした。 マナトが戻ったのだと思い気を抜いていた。 振り返ることができない。 「ユズル?」 肩をそっと掴まれる。 仕方なく振り返る。 「あぁ、悪い。ぼーっとして…」 振り返ったところに、タカヤ顔。 びっくりして固まる。 タカヤは眉間にシワを寄せている。すぐに返事をしなかったのが気に入らなかったのか。 タカヤがオレから顔を離す。 「お前いつも気抜きすぎ、後ろから刺されっぞ」 「後ろから刺されるような覚えないよ」 「そうかー?せっかくの手作りプレゼントを人に食べさせてんのに?」 タカヤが机の上のクッキーを眺める。 「お前に言われたくないね。」 タカヤは背が高く端正な顔立ちに切れ長の目、短髪。引き締まった体躯。 落ち着いた雰囲気で人気がある。 女癖がいいほうではなくしょっちゅう二股だのでもめているが、いっこうに懲りた様子はない。 こんなヤツにとやかく言われる覚えはない。
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