450人が本棚に入れています
本棚に追加
/118ページ
その日以来どんどんあいつの存在が大きくなって、手に負えなくて・・・。
はぁっとため息をつく。
帰ろう、とりあえず一通りは回ったし、続きはまた明日。
時間は9時を回っている。
家に着いたら10時を過ぎる。
傘は持っていなかったので、俺も小走りに駅へ向かう。
ふとコンビニから出てきた高校生が目に留まる。
マナト?
コンビニは道路を挟んだ向かい側、道路には車が行き交っている。
呼んでも気が付かないか・・・。
マナトはコンビニの前に立ったままだ。
雨が降ってるから出ようか迷ってるのか?
マナトの後ろの自動ドアが開いて人が出てくる。
藤原のおっさん。
藤原さんが手に掛けていた上着を雨を避けるようにかぶり、マナトの肩を抱き寄せる。抱き寄せられたマナトが藤原さんのほうを見る、藤原さんもマナトを窺う。
甘い視線を交わす二人。
二人は仲良く身を寄せ合って雨の中を小走りに走っていく。まるで、恋人同士。
!!
あの二人・・・。
俺がその光景に驚いて立ちつくしていると、二人が消えた曲がり角から車が現れて、俺の前を通り過ぎる。
俺は思わず建物の脇に身を隠す。
一瞬見えた車の中の二人の笑顔。
こんな時間にどこへ?
だいたい高校生を連れ歩いていい時間じゃない。
何かの調査?
そんな風には見えなかった・・・。どうなってる。
マナトと藤原さんを見掛けたお陰で、それからしばらくは自分の問題から少し離れることができた。
とにかく、二人のことが気になって仕方がない。と、思おうとした。
そういえば、この前マナトが買出しに出たとき、あいつ、藤原さんに途中で会ったとかなんとか言って帰ってこなかったよな。
戻ったころには、あいつが買ってきたファーストフードのジュースの氷はすっかり溶けてしまってジュースの味が薄くなっていた。
案件の話をしても上の空だったし。
最初のコメントを投稿しよう!