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それからもタカヤは俺のヘルプにちょくちょく来るようになった。
マナトの方にも掛け持ちでヘルプに入っているらしいが、藤原さんからタカヤについてのことで俺に連絡は一切ないので、おそらく俺の方へ来ていることは藤原さんには言ってないと思う。
マナトの方はどうやらかなりやばい一件だったようで、マナトの調査行動は一旦見回り程度に抑えられているらしいが、マナトのことだきっとじっとしてはいないだろう。
無茶をしなければいいけれど。
俺の方はというと、収穫は全くと言っていいほどない。が、藤原さんから調査停止の連絡はない。
定期的に“どうだ?”という連絡が来るので忘れているわけでもなさそうだ。
今日も俺は放課後にゲームソフト店回り。
タカヤが途中から合流する予定だ。
ここまで収穫がないとなるともう少し手法を変えるべきなのかもしれない。
藤原さんからそういう指示は出ていないけれど、タカヤが来たら相談してみよう。
携帯が鳴る。
タカヤだ。
俺は手短に居場所を伝えて電話を切って店を出る。
しばらくするとタカヤが現れた。
「よう、お疲れ」
「ああ」
「どうだ?」
俺は首を振る。
「そろそろ手法を変えたほうがいいかな。」
タカヤはう~ん、と考える。
「どうだろうな。取りあえず見張っときゃいいんじゃねえか?」
「なんだよ、消極的だな。」
「うん。はっきり言って、危なねえし。」
「マナト?」
「うん?」
タカヤが首を傾げる。
「いや、結構やばいって言ってたろ。」
「ああ、今は巡回だけだよ。」
「マナトのことがあるから俺にも大人しくしてろっていうのか?」
「うん、それも、ある。」
「それも?」
「だからさ、未成年なんだし、学生なんだし、指示のないことを無茶してする必要はないって言ってんの。」
「なんだよ、それ。」
「変なことに巻き込まれたらどうすんだよ。親が泣くぞ。」
「わかってる。」
確かに、俺たちは自ら危ない橋を渡ってる。
何かあったとしても警察組織が俺たちのことを表立って庇うことはないだろう。
「ユズル」
「ん?」
「マナトだけど」
「ああ」
「大丈夫かな、あいつ」
「大丈夫って?」
「危なっかしいんだよ。なんか、さいきん。」
「ああ、さいきんっていうか、前からけっこう無茶するからな。」
今さら何を。
「そうなのか?」
タカヤは意外そうにいう。
本当に気づいてなかったようだ。
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