迷う心2

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けど、タカヤ。マナトは藤原のもんだぞ。 「っていうか、お前が変な言い方すんなよ。なんか焦っちまった。」 「焦ってるお前なんか初めてみたよ。」 「だろ。俺もびっくりしたよ。」 「あほか。」 どういういい訳だ。 「そういや、考えたか?」 「ん?」 「残るかどうか。」 「ああ、まだ考え中。」 「なんだよ。何が不満だ。」 「んー、お前が言う通り危ないし。ここらで足洗った方がいいかなって。もともと高校生の間だけのつもりだったしな。」 「でも、まだ考えてるってことは脈ありだな。」 俺は答えない。 「残ればマナトに会えるぞ。」 「いやいや。餌になってねえって。」 「俺にも会える。」 「もっとなってねえ。」 「だよな、うーん。」 タカヤは考え込む。 鈍感。 気付くはずないか。隠してるんだから。 俺はお前が居るから迷ってるんだよ。 お前に会いたいから。 お前は俺が辞めたらもう会ってくれないのか。 メンバーじゃない俺には興味がないのか。 タカヤは俺の心をよそにさらに続ける。 「じゃあ、なんでここに入った?」 「正義感。」 「だよな。たぶん、みんなそうだ。」 「そうじゃない奴はやる気があっても省かれてるよ。」 そう、最初にふるいに掛けられる。 警官は人を見抜くプロだ。数人の面接を経て俺達はメンバー入りする。 もちろん正義感だけでは入れない、けれど正義感のないものは入れない。 詳しい規定はもちろん知らないけれど、正義感の持ち主であることは俺達メンバーに共通している。 「うん。じゃあ、もう少し続けてみようか。」 「考えとくよ。」 「なんでだよ。乗ってこいよ。」 「お前が見てるものの中に俺が望むものがあるとは限らないだろう。」 「自分の価値観を押し付けるなってか?」 「そうじゃ、ない。」 いや、そうだ。 タカヤが好きだ。 けれど、タカヤの目指すものに俺が付いていける自信がない。 もちろんメンバーになった正義感は嘘じゃないし、今もそのためにこの仕事をしてる。 けれど、正義感に始まって今はそれにタカヤの事がプラスされてる。 正義感は減らない、でもタカヤへの想いは増え続けてる。 そんな気持ちでこの仕事続けていいのか。タカヤに引きずられて。 なんで俺、こんなあやふやなんだ。 もっとしっかりしないと。 だから、まだ答えは出せない。
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