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それから30分ほどでマナト到着。
「お疲れ様です。」
「ああ、ごめんな、呼びだして。」
「あ、シンさん。お久しぶりです。」
「おお、久しぶり。元気そうだな。二人とも居るんなら俺ちょっと買出しに行ってくるわ。」
シンはそう言うと部屋を出て行く。
俺の様子を察したわけでもなさそうだけど、ちょうどよかった。他のメンバーにお節介してるとこは見られたくない。
「どうしたんですか。」
「お前の方はどう?終わった?」
「いえ、いま巡回指示で。」
「そうか。じゃあさ、こっち手伝ってくれない?」
「え?海賊版ですか?」
「ああ、進展がなくてね。」
「ええっと、でも藤原さんからなにもきいてません。」
「うん、指示は出てない。」
「ですよね。それに、タカヤさんが入ってるんじゃ?」
「よく知ってるね。」
「はい、この前タカヤさん言ってました。」
「ほかにも言われたことがあるだろう。」
マナトの表情が一瞬変わる、がすぐに戻る。
上手く誤魔化したつもりかもしれないけれど、俺はそれを見逃さない。
「ほか?」
マナトは首を傾げる。
トボケてやがる。
「ああ、トボケるなよ。」
「いえ、ほんとにわかりません。」
そしらぬ顔をする。
「手が空いてる筈だから、こっちに回れっていってんだよ。」
「藤原さんの指示ならそうしますけど。」
俺の挑発には乗らずにいつものきょとんとした表情で答える。
手強いな、やっぱこいつ。
「じゃあ、藤原さんにそうしてもらうように頼むよ。」
「そうしてください。勝手なことすると俺まで怒られるんで。」
こいつ。
俺の方が挑発されてるのか。つい怒鳴りそうになるが抑える。
「わかってるんなら無茶するな。」
「してませんよ。」
「マナト。」
俺は諭しに入る。
「はい。」
「無茶するな。」
「わかってます。」
マナトは俺の目をまっすぐに見て答える。
だめか。
やっぱ、藤原さんに頼むかな。
「あ、でも藤原さん今忙しいみたいで連絡あまり付きませんよ。」
マナトがつぶやく。
やっぱ藤原さんの状況よく知ってるな。
「へえ、そうなんだ。」
「ええ、俺も連絡取りたいんですけどね。」
「会ってないの?」
「はい、全然。」
「そうか、放置か。」
「仕方ないですけどね。仕事が仕事なんで。」
「はぁ、仕事ねぇ。」
マナトのどことなく寂しそうな表情。
やっぱこいつらデキてるな。
あの藤原さんのどこがいいんだ?
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